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前回のコラムでは、旧車を買い替えることで維持費や環境に及ぼす影響に関するトピックを扱いました。今回はその話題をさらに深掘りし、「燃費と買い替え」というテーマを取り上げます。低燃費車に乗り換えることが経済面や環境面で優れているといえるのか、考えていきましょう。
クルマの買い替えで維持費削減を図れるか
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買い替えで燃費の大幅向上は実現可能
最新のハイブリッドカーの中には、30km/Lという低燃費を実現している車種があります。従来のガソリン車の場合、15km/L前後の燃費のクルマが多かったため、そうしたクルマから最新のハイブリッドカーに乗り換えるだけで、同じ距離を走るのに必要な燃料費は2分の1になったことになります。これは単純計算で算出した参考値のため、必ずしも燃料費が半分になるとは限りませんが、ガソリンが高騰している状況下において低燃費車は頼もしい味方になるのは間違いないでしょう。
エコカー減税で自動車重量税の軽減も
一定の燃費基準を満たす車種については、自動車重量税の軽減が行われる「エコカー減税」制度が適用されます。車種により免税となることもあり、新車購入を検討している方には大変魅力的に映るでしょう。また、さらに「グリーン化特例」による自動車税軽減対象となるクルマもあるため、エコカー減税と併用して年間数万円の税金削減になることもあります。
なお、エコカー減税の対象車については、初回登録から13年経過時点での税金の重課(今在る税金に加えて納税額が加算されること)の対象外となります。「クルマは長く乗り続けたい!」という方にとっても、今が買い替えを検討するタイミングとなるでしょう。
一定期間での乗り換えで故障リスクも低減
どれだけ大切にしていても、経年劣化や走行距離に応じた摩耗によってクルマの故障リスクは次第に高まっていきます。そのため、定期的に新車に乗り換えることで、整備や消耗品に関連する維持費を抑えられる可能性が十分あります。
一般的に、クルマの寿命は「10年」もしくは「10万km」と言われています。部品供給の問題や整備対応ができる場所が限られてしまうという問題もあるため、維持費をかけないためには「10年」や「10万km」を迎えるまでに買い替えるのがおすすめです。
一概に買い替えがお得とは言えない現状
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ただ、ここまでの内容だけで新車への買い替えをするのは早計かもしれません。確かに、新車への買い替えを行うことで燃費の向上や税金の低減は実現できます。しかし、それ以上の金額を新車購入時に支払うのであれば、お得とは言えないでしょう。
新車購入価格の元が取れるかは疑問
たとえば年間10,000km走行する人が、15km/Lのクルマから30km/Lのクルマに乗り換えたとします。レギュラーガソリンの価格を165円とすると、年間11万円ものガソリン代を抑えることができる計算になります。ただし、新車購入価格の約200万円をこの差額だけで回収しようとすると、18年近くかかる計算です。もちろん、減税や中古車の下取りなどを考慮すると回収期間はもう少し短くなりますが、短いスパンで新車を買い替え続けてもその購入費用を回収できない可能性があることは頭に入れておくべきだといえるでしょう。
乗り方や走行距離に左右される部分も多い
燃費をはじめとしたクルマの維持に関わる費用は、乗り方や年間走行距離に左右されます。そのため、カタログスペックを見てお得に思えても、実際は期待したほどの効果を得られないことも少なくありません。購入したらその時点でお得になるのではなく、ご自身で意識的にお財布にやさしい運転を心がける必要があるのです。
新車買い替え時環境に与える影響
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ここまで、主に維持費や購入金額などお金の面のお話を中心にしてきました。ここからはもう一つの大切な観点、「環境への影響」について取り扱います。燃費の向上や新車購入は環境にどのような影響を及ぼすのでしょうか。特にSDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」に照らして解説します。
燃料消費を抑えることで温室効果ガスの削減が可能
燃費性能の良いクルマに買い替えることで、走行時に消費する燃料を抑えることができ、それに伴って排出する温室効果ガスも低減可能です。電気自動車(EV車)は走行中ずっと、ハイブリッド車については電気で稼働しているタイミングで、排出する温室効果ガスはゼロになります。もちろん、電気を生み出すのにも温室効果ガスが排出されているため理論上では環境への影響を全くなくすことはできませんが、従来のガソリン車と比較すると環境に与える影響は大幅に低減されています。
自動車製造時に排出される温室効果ガスは無視できない
走行中の温室効果ガス排出量が少ないハイブリッドカーや、全く温室効果ガスを排出しない電気自動車でも、車体を製造する際には多くの温室効果ガスが排出されることになります。特にEV車の製造過程ではガソリン車の2倍以上もの排出量とされているため、完全に環境への影響がないとは言いがたいでしょう。
「つくる責任」と「つかう責任」を切り離して考えると、どちらかが地球にやさしければ良いという見方をする人も出てきてしまいます。生産と消費、そしてその先の処理までワンセットだと捉えなければならないのです。
リサイクルという「第3の選択」も視野に
生産や消費の先にある「その先の処理」は、解体や廃棄だけではありません。近年注目を集めているのは「クルマのリサイクル」。不要になったり使えなくなってしまったりしたクルマからパーツを取り出し、使える状態にしてから販売する方法です。リサイクルをすることで、新車製造時に排出される温室効果ガスの削減が可能になります。エコアールでは、クルマのリサイクルを積極的に推進しており、今後もさらなる普及を目指しています。
買い替えの判断は状況に応じて行うべき
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結局、買い替えがお得になるのかどうかは、現在の状況やクルマの乗り方によって大きく変わってきます。そして、主に自動車メーカーは「つくる責任」を負い、消費者は「つかう責任」を負うことになりますが、互いにどちらの責任にも関心を持ち続けることが重要です。次回以降のコラムでも、自動車にまつわるSDGsについてのトピックを取り上げていきますので、ぜひ合わせてご覧ください。
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