気候変動への「具体的な対策」とは?自動車業界でできることを考える

いま、私たちが暮らす地球において、温暖化や気候変動の問題が多発しているのは周知の事実でしょう。今回はSDGsの目標13.「気候変動に具体的な対策を」という項目を軸に、地球の環境を守り、後世に残すためには自動車業界において何をすべきか考えていきます。ぜひこの機会に、アクションを起こすきっかけを作りましょう。

世界が直面する気候変動

まずは、いま世界で起きている気候変動や異常気象についてご説明します。課題への取り組みは、問題の把握から始まります。なぜ気候変動が起きているのか、SDGsの目標にはどのようにつながるのかを知ることからはじめていきましょう。

確実に気候は変動しつつある

世界の年間平均気温は、19世紀以降100年あたり0.72℃上昇しています。そしてその勢いは止まらず、今後も地球の平均気温は上昇し続ける見込みです。こうした気温の上昇傾向は、「地球温暖化」として広く知られています。他にも降雨量が変化したり、壊滅的な暴風雨が起こったりといった気候変動は世界中で起こっています。

気候変動がもたらす影響

こうした気候変動は、作物の収穫量や品質の低下を招きます。米や果実は気温の影響を受けやすく、特に気温の上昇は生育に悪影響を及ぼすことが知られています。また、地球の温暖化は生態系のバランスが崩れてしまう大きな要因のひとつです。特定の地域において本来生息しないはずの生物が活動するようになると、生きていけなくなってしまう生物もおり、場合によっては絶滅の危機にさらされてしまうケースもあるでしょう。

そして豪雨や台風の発生によって生じる被害も無視できません。異常気象が原因となって生じる人的被害や建物の損壊は世界的に起こっており、日本でもそうしたニュースを耳にするのは珍しくなくなっています。例えば、冬期に積雪が内陸部を中心に増加したことが原因で、人々の移動や物流がストップしてしまったり、雪の重みで建物が倒壊してしまったりといった問題が昨今は頻発しています。

そもそもなぜ気候は変動するのか

気候変動の主な要因は、温室効果ガスの排出にあります。石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料を燃焼させると、温室効果ガスが大気に放出され、地球を覆います。そして、温室効果ガスの濃度が上昇することで大気中に吸収される熱が増えすぎてしまい、気温の上昇が起こります。さらに、そうした気温の上昇が海氷の融解や台風の発生を招き、大規模な気候変動を巻き起こすのです。

SDGsでうたわれる内容

2015年に開かれた国際サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)では、持続可能な社会をつくるために17の目標が設定されています。中でも、目標13として掲げられている「気候変動に具体的な対策を」という項目は今回のトピックと密接に関連するものです。そしてこの目標の説明として、「気候変動やその影響を減らすための具体的な対策を考え、今すぐ行動する」という内容が記されています。ここでいう具体的な対策とは何を指すのかは、このあとご説明します。

「具体的な対策」とは何を指すのか

さて、ここからが今回の本題です。SDGsの開発目標を達成し、気候変動に歯止めをかけるためには、どのような対策を講じなければならないのでしょうか。ここでは、SDGsの目標13の内容にもつながる「緩和と適応」という考え方を元に、対策の方向性を一緒に考えてみましょう。

気候変動に対する「緩和と適応」

数百年、数千年という規模で見ると、地球の気候はたえず変化し続けており、気候変動を完全にストップさせることは非常に難しいといえます。ただ、急激な気候変動による実害が引き起こされてしまっているのもまた事実です。そこで出てくるのが、「緩和と適応」という考え方。これは、現状起こっている問題に対策や被害の軽減という形で「適応」しつつ、気候変動のペースを緩和させる「緩和」を行うことで、私たちの生活に及ぼす悪影響を最小限に抑えることを目指すものです。

対策の方向性としては、「緩和」には省エネルギー施策の実施や、温室効果ガスの排出量削減といった内容が当てはまります。さらに具体的な対策まで掘り下げると、節電の実施や自然エネルギーの活用、ガソリン車の廃止などが挙げられるでしょう。いずれも、いま起こっている急激な気候変動の原因に対して対策を施し、気候変動のペースを落とすことを目指しているのが分かります。

他方、「適応」は今起きている気候変動への対策を指します。海面上昇に対応するために防波堤を建設したり、暑さに強い農作物の開発に取り組んだりと、現に各領域でさまざまな対策が行われています。「緩和」と「適応」をうまく組み合わせることで、私たちの社会を維持しながら気候変動の勢いを和らげることができるのです。

電気自動車の普及だけを推進するのは早計?

気候変動の緩和策として電気自動車(EV車)の普及が挙げられることも多いですが、単に今あるガソリン車やディーゼル車を電気自動車に置き換えるだけでは解消できない問題があります。それは、車体の製造時や電気を生み出す際に生じる温室効果ガス排出量の問題です。

電気自動車が走行時に排出する温室効果ガスはゼロのため、走行時だけを切り取れば電気自動車を勧めない理由はないでしょう。しかし、実は車体の製造時や電力を生み出す際にも温室効果ガスが排出されてしまっているのが現状です。国内外で発表されている報告では、電気自動車製造時に排出される温室効果ガスの量は、ガソリン車やディーゼル車と比較して多いと試算されています。発電の際の二酸化炭素排出量も加味すると、約12万km走行した時点でようやくディーゼル車より温室効果ガスの排出量を削減をすることができるという自動車メーカーの試算もあります。

走行距離が伸びれば、車体を製造する際に排出される温室効果ガス量は理論上相殺されることになります。ただ、製造時や発電時の温室効果ガス排出量を抑えることができれば、さらなる環境負荷の軽減や、気候変動の緩和を見込むことができるでしょう。

これから目指すべき未来

さて、ここまでご紹介してきた内容を踏まえ、これから日本の自動車業界が目指していくべき方向性について考えてみましょう。もちろん、持続可能な社会を目指すのであれば、自動車メーカー同士の協力だけでなく関連会社やユーザー、他業界の企業とも手を取り合う必要があります。ぜひ自分事だという認識を持ちながら読み進めてみてください。

温室効果ガスを排出しない自動車の普及

まずご紹介するのは、ガソリン車やディーゼル車に代わる自動車の普及です。政府は、2035年以降は日本国内での新車販売を電動車のみに切り替えるという声明を発表しました。ここでいう電動車とは、電気自動車やハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、燃料電池車のことです。いずれも温室効果ガスを排出しない、ないしは通常のガソリン車と比較して低排出量に抑えられるタイプの車両で、社会規模での走行時の排出ガス削減が期待されます。こうした自動車が社会に普及するよう、自動車の開発やインフラの整備をしていくことは、自動車業界の使命ともいえるでしょう。

自然エネルギーの普及

一見、自動車とは直接関係ないように思われるかもしれませんが、自然エネルギーの普及にも自動車業界は取り組んでいく必要があるでしょう。電動自動車の中でも主流となることが見込まれている電気自動車は、電力をエネルギーとして使用して走行します。そのため、今後自動車と電気がいま以上に切っても切れない関係になるのは必至です。電力会社や政府と足並みを揃え、太陽光発電や風力発電、地熱発電など持続可能な発電方法の推進に努めなければならないのです。

限りある資源の有効活用

自動車にまつわる気候変動の緩和施策は、電動車の新車販売だけではありません。いまある資源や自動車部品を有効活用すれば、新たな資源の使用を最低限に抑えられるほか、新車製造時に排出される温室効果ガスを削減することができます。実際、当社エコアールでは乗らなくなった自動車から部品を取り出して整備し、再利用する「自動車リサイクル」を推進しています。こうした取り組みは廃棄パーツを減らすことにもつながるので、今後さらに拡大する良い体です。

千里の道も一歩から

世界中で問題視されている気候変動。ひとつひとつの取り組みに対する効果は実感しづらい側面もありますが、具体的な対策を地道に積み重ねることで、少しずつ状況が好転していくことが期待されます。皆で問題意識を共有し、自分にできることを探してみましょう。

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