取締役会長 石井正勇 メッセージ

逆転発想と循環の美学

初代クラウンに込められた私たちの思い

1964年に当社が起業してから、半世紀が過ぎました。
振り返ればこの年東京オリンピック が開催され、日本はモータリゼーションの夜明けを迎えました。
初めて私たちが手がけた車は、観音開きのサイドドアが車体構造上の特徴である初代クラウン。
1955年に登場したアメリカ車を彷彿とさせる車で、フロントグリルを飾るエンブレムの王冠は、使用済自動車が実は宝の山であることを象徴しているかのようでした。

昔から農業社会には「ごみ」という観念はありませんでした。

出荷できない規格外の農産物は家畜の飼料になり、その家畜の排池物や調理屑は堆肥化して、すべてを自然に還します。
こうして土を肥やし、再び畑に実る作物は人の命の糧、労働力の源になりました。
社会と自然界の間に秩序正しい循環が繰り返されてきたのです。

自動車解体業を立ち上げたとき、農業社会に育った私たちには、リサイクルやリユース、リデュースはごく当然のことでした。
大量生産・大量消費が価値であった時代、ともすれば再利用や中古品が軽視される風潮の中でも、車は資源の塊だという信念が揺らぐことはありませんでした。

今、私たちが提案したいのは工業社会の農業化です。

リサイクル型社会、循環型社会の実現は急務だと言われています。
しかし私たちは半世紀も前から自動車解体を通じてエコロジーに貢献してきました。
おおよそ、この世に使命を終えて不要となるものは存在しない・・・これが創業以来の哲学であり美学です。

廃タイヤはおろかボルト1本でさえ、再び新たな資源になりうると、きめ細かく循環処方を施しています。
その根底にあるのは農業を支えていた命の循環の法則です。

無機質を対象にする工業社会においても、一切を無駄にしない農業精神を継承したい。
それがクラウンとの出会いの日に誓った私たちの思いです。